ここではフィボナッチ・リトレースメントというテクニカル分析について、どうやってMT4で線を引くのか、どのような分析方法なのかを解説します。
目 次
そもそもフィボナッチとは?
フィボナッチは、フィボナッチ数列という数列のことをいいます。
フィボナッチ数列とは、13世紀のイタリア数学者レオナルド・フィボナッチに由来している、ある特徴を持つ数列のことです。
フィボナッチ数列の特徴と、心地の良いフィボナッチ比率
「0、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233、377、610、987、1597……」
上記のような数列をフィボナッチ数列といい、永遠と続きます。
この数列は、ある数字と次の数字を見ると、4つの特徴があります。
- どの数字もその前の2つの数字の合計になります。例えば「2」から計算すると、「1+1=2」「1+2=3」「2+3=5」「3+5=8」となり、永遠に続きます。
- どの数字も、1つ上の数字に対して「0.618倍」の割合になり、1つ下の数字に対しては「1.618倍」の割合になります。例えば、13÷21=0.6190476……、となります。反対に21÷13=1.615384……となります。これは数字が大きくなればなるほど「0.618」「1.618」に近づきます。
- どの数字も2つ上の数字に対して「0.382倍」、2つ下の数字に対して「2.618倍」の割合になり、数字が大きいほどその割合に近くなります。
- どの数字も3つ上の数字に対して「0.236倍」、3つ下の数字に対して「4.236倍」の割合になり、数字が大きいほどその割合に近くなります。
どのような数字をとって計算しても以上のような特徴がみられ、この「0.618」「0.382」「0.236」などの倍率のことをフィボナッチ比率といいます。
フィボナッチ比率は黄金比とも言い、多くの人が美しい、心地がいいとされる数字で成り立っています。
例えばひまわりの種の配列、松ぼっくりの渦の本数、ミロのビーナス、ピラミッド、タバコの箱、名刺など、自然界のものから人工物にまで見ることができます。
この心理的に心地の良いとされるフィボナッチ比率を活かしてトレードする方法の1つが、フィボナッチ・リトレースメントといいます。
フィボナッチ・リトレースメント
フィボナッチ比率を使ったトレード手法はたくさんありますが、その中でもフィボナッチ・リトレースメントという手法がおすすめです。
最も多くのトレーダーが使用している代表的なツールであるため、フィボナッチ・リトレースメントのサポートライン、レジスタンスラインになるポイントは多くの投資家が見ていて売買の節目になることが多いからです。
つまり、フィボナッチ・リトレースメントのポイントを抑えておけば、トレード戦略が立てやすくなることを意味します。
具体的には、天井(高値)から底(安値)、底から天井までの値幅を100%として、そこから次にくる戻りや押し目のレベルを予測して目標値として考えていきます。
MT4では、フィボナッチ・リトレースメントを簡単に引くことができるので、目標値を視覚的に捉えることができますので、MT4の使える海外FXを使うとフィボナッチを活かしたトレードをおこないやすくなります。
海外FXのMT4でフィボナッチのラインを引く方法
ここからは海外FXで使用できるMT4で、フィボナッチ・リトレースメント(以降フィボナッチと言います)のラインを簡単に引く方法を解説します。
フィボナッチのラインはMTのツールで最初から設定があるため、以下の手順を行えば簡単にラインを引くことができます。
どこに引けばいいのかも、合わせて解説していきます。
MT4起動後、フィボナッチラインを引く
まずはMT4を起動させ、MT4のメニューバーにある点線と小さなFの文字のあるボタンをクリックします。
続いてチャート上にフィボナッチのラインを引きます。
どうやって引くのかを以下から解説していきます。
フィボナッチのラインの引き方
フィボナッチのラインは、最初にそのトレンドの安値と高値を見つけます。
そして、その高値と安値を結ぶとフィボナッチ比率が自然に表示されます。
今回はUSD/JPYで、直近の安値Aと高値Bをメニューバーのフィボナッチの線で引いただけですが、どんな場合でも基本的にはそのトレンドの高値安値を見つけて設定されているラインを引くだけなので簡単にフィボナッチのラインを引くことができます。
シンプルで簡単が故に、多くの投資家たちが利用しています。
フィボナッチの比率がサポート・レジスタンスラインになる
フィボナッチを使う投資家は、「23.6%」「38.2%」「50.0%」「61.8%」「76.4%」の比率をとても重要視して意識するため、価格がこの比率に近づくと、フィボナッチがサポートラインやレジスタンスラインになることが多々あります。
フィボナッチ比率はこの5つの「%ライン」だけが重要です。
MT4では、フィボナッチラインが簡単に引けるようなツールが標準装備していますので、上記のように高値と安値を結んでラインを引くことで5つの比率も自然に表示されているようになっているものがほとんどです。
上記の画像はフィボナッチラインを目立つように記したものです。
高値安値を結んでラインを引くだけで、フィボナッチ比率のラインが自動で引かれるのです。
フィボナッチラインは正確に引こうとしない
フィボナッチを引くとき、起点をローソク足のヒゲに合わせるのか、それとも実体に合わせるか、最初は迷ってしまいます。
これは正解はありませんので、最初から正確なフィボナッチを引こうとは考えずに、最初は自分のルールを作って引いてみてください。
自分のルールをなぜ定めたほうが良いのか、どう定めたらいいかを解説します。
例えば、安値の起点をヒゲにし、高値を実体に合わせて、ヒゲと実体でフィボナッチを引いたとします。
しかし、23.6%のラインで反応がない場合、フィボナッチが全く機能していないと決めつけ、チャート上から削除するのではなく、ヒゲとヒゲや実体とヒゲを引き直してみます。
ここで引く順番のルールを自分で決めていくのです。
ある日にヒゲと実体を結んで引いた、次の日は実体と実体にしてみるなど、ルールを定めないまま毎回引いてしまうと本当にフィボナッチが機能するかしないのかがよくわからず、トレードに自信がもてなくなります。
そこで、まずは「必ずヒゲを起点にしてフィボナッチを引く」というようにルールを定めておくと良いのです。
そして毎回そのルールを統一させておきます。統一させておくことで、そのルールで引いたフィボナッチが機能しているかどうかの判断がしやすくなるのです。
最初は「ヒゲとヒゲ」で結ぶようにし、機能しない場合には、長い下ヒゲ、上ヒゲが出ている、などの状況が考えられるため、そのような場合には「ヒゲと実体」などを試すと良いでしょう。
このような自分なりのルールを定めておくことで、最初は無用な混乱をしなくて済みます。
フィボナッチの効果的な使い方を解説
これより下は、そのフィボナッチをどのように使えばより効果的なのかを解説していきます。
強いトレンドは23.6%、38.2%が押し目
上の画像の押し目となったフィボナッチは23.6%です。
トレンドが強い場合、23.6%と38.2%が押し目となってさらにトレンドが継続することが多いので、覚えておくと便利です。
これは、一時的に下落してしまったとしても、早い段階で再度買い注文が入り始めます。
するとトレーダーの心理として、買いそびれはしたくないと思い、高い確率で早めの押し目買いが入ります。
50.0%まで下落せずに浅い押し目で伸びるのには、そのようなトレンドによる投資家の心理状態も現れています。
長い時間軸ほど多くのトレーダーが確認している
チャートは日足のような時間軸が長いチャートほど、そのチャート形成にかかる時間も長いため、昨日までの日足チャートと今日の日足チャートを比べてもローソク足が1本追加されただけで、チャートの形はあまり変化がありません。
時間軸を変えて、同じ100本分のローソク足を見るとします。
そうすると、日足では100日分ですが、1分足だと1時間半分になります。
同じチャートの場面のどちらがより多くのトレーダーが見ているのかというと、日足の方です。
これは、トレンド期間の短い1分足よりも、日足でトレンドが出ている箇所をフィボナッチで見ようする人が多いことを意味しています。
そのため、時間軸が長くなるほど、同じトレンドが見られる回数が増え、また、チャート形成にも時間がかかります。
つまり、長い時間のローソク足になればそれだけ押し目や戻り等を意識しているトレーダーが多いということになるため、フィボナッチのラインで押し目、戻りになることが多くなる傾向にあります。
フィボナッチを見ていないトレーダーももちろんいますが、前述したとおり、フィボナッチは誰もが自然と心地よいとされる比率であるため、意識していなくてもフィボナッチのライン上で売買が多く行われることもあるのです。
50.0%と61.8%まで反転したらトレンド転換
トレンドが強い場合、23.6%や38.2%が、押し目や戻りになりやすいことは上述しましたが、50.0%(半値)まで一時的に反転する(安値と高値の中間までくる)と、どうなるでしょうか。
ここからトレンドが継続すると考えるトレーダーがいる一方で、半分(50.0%)まで反転したからトレンドが転換すると見るトレーダーも増えていきます。
また、61.8%まで下落(上昇)すると、そこからトレンドを再開させて高値(安値)を簡単にはブレイクしなくなります。
そのため、フィボナッチの50.0%、61.8%まできたときは、トレンド転換の可能性が高くなるのです。
上記の画像を見てみると、50.0%のラインで何回か押し戻されたあと、安値を出しています。
その後、反転し、再び50.0%のラインまで一気に上昇し、越えていきました。
ここでトレンドの転換となっているとみることができます。
その後も一度高値を記録し下がってきますが、61.8%のラインで止まり、また上昇して前の高値を越えて、再び高値を記録しました。
このように、50.0%や61.8%のラインの越えると、トレンド転換となり、簡単には反転しなくなる可能性が高くなります。
経済指標や要人発言時のフィボナッチの使い方
多くのトレーダーが見ている時間足、日足のほうがフィボナッチではトレードしやすいということは上述しましたが、それはつまりより多くのトレーダーが見ているチャートのほうがフィボナッチが機能しやすいことを意味しています。
多くのトレーダーに見られているという意味では、経済指標時、要人発言などの、時間が決まっていて大きな値動きの出るタイミングがあるときは、誰もがその時間帯に注目しています。
そしてその時間帯になると多くのトレーダーが同じチャートを見ているということになり、短時間でもフィボナッチが強く意識されることになります。
たとえ1分足でも、このようなタイミングではフィボナッチが強くなるのです。
フィボナッチ数で相場転換日を予想
上記ではフィボナッチ比率のラインでの活用方法を紹介してきました。
同様に、フィボナッチ数でも相場の転換を予測することができます。
しかし、多少数字が前後する場合もあるため、一概にすべてフィボナッチで予想はできませんので、他の分析方法などと組み合わせて使用することで、よりトレードの精度が上昇していきます。
もう一度おさらいすると、フィボナッチ数とは「0、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233、377、610、987、1597……」と、永久に続く数列のことで、この数列は「黄金比率」などとも呼ばれています。
米ドル/円の日足チャートを見ながら、どういうことか説明していきます。
2017年5月10日に高値を記録していますが、5月9日(高値A)から数えると、89日に最安値になりました。
実際は5月10日からなので、90日ですが、それでもフィボナッチ数「89」に近い数値で高値から安値の波が形成されています。
その後、9月8日の安値から21日後、高値1を記録しました。
さらにその22日後に、再び高値2を記録しました。
21はフィボナッチ数です。
つまり、フィボナッチ数で数えていき、例えば55日後のXデーに大統領選挙があるとか、何か重大なイベントが起こるとします。
そのようなときにこのフィボナッチ数で日柄を予測します。
実際に、その予測日がXデーと重なるようなときは、その日が転換点になる可能性が高いと考えることができます。
常にピタリとフィボナッチ数に当てはまるというわけではなく、それに近い数値でも同じような現象(画像で紹介したのは「89日 → 90日」や「21日 → 22日」など)がおこることがありますので、その辺りは臨機応変に考えていきます。
このようにフィボナッチでは比率とともに、数値(黄金比)から相場予想に役立てることができます。
自分の予測の信頼性を上げるための一つの分析方法にもなるため、自分のルールを作ってフィボナッチ・リトレースメントを活用していきましょう。