海外FXでは脱税はばれないのか?
海外FXの税金対策と節税についても解説していきます。
目 次
海外FXでは脱税はばれない?
FXトレードで儲けても、海外FX業者を使ってれば脱税しても「ばれない」かも...
海外の業者を使っていれば「脱税はばれないだろう」と考える人、国税庁や税務署を甘く見るのは絶対にNGです。脱税は、ほぼ100%に近い確率でばれてしまい、追徴課税を課せられて痛い目に遭います。
税務署や国税庁がどうやって個人の損益状況や資金の流れをつかんでいるのか理解すれば、脱税はほぼ確実にばれることがお分かりになると思いますので、以下でご説明いたします。
FX取引で脱税がばれる理由
脱税がばれる理由は、税務署が個人の損益状況や資金の流れを簡単に把握できてしまうからで、国内FX業者と海外FX業者を利用した場合では税務署の把握方法は異なります。以下から説明していきます。
国内FX取引で脱税がばれる仕組み
国内FX業者は毎年、トレーダーに対して「損益証明書」を発行しています。この損益証明書は確定申告に使われているもので、これによって「どれだけ儲けているのか」がばれるのです。
損益証明書はトレーダーだけにではなく、国内FX業者は税務署にも発行しており、税務署は受け取っている損益証明書と納税者リスト(納税済み)を突合させることによって未納税者を把握でき、結果、脱税は必ずばれる仕組みとなっています。
少額の税金であれば税務署は取り立てコストの方が大きいため咎めないかもしれませんが、たとえ少額であっても脱税の記録は税務署に把握されているので、後々、面倒なことにならないようにしっかりと税金を払っておきましょう。
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【海外FX】MT4で確定申告の必要書類(年間取引報告書)を作る方法
余談ですが、仮想通貨で一時「億り人」となった人も、確定申告することを知らずに多額の負債を抱えた人もいます。
知らなかったでは済まされない世界ですので、海外FXを利用する前に知っておいたほうが良い知識です。
しかし、確定申告は思っているほど面倒でも苦労することでもないんです。
実際に毎年行っていますが、慣れてしまえば30分くらいで終わりますよ。
【30分で終わる確定申告の手順】はこちらをご覧ください。
なら、海外FX取引なら脱税はばれないのでは?
では、海外FXを利用している場合、脱税は「ばれない」のでしょうか? 答えは、必ず「ばれます」。
海外FX業者では国内FX業者と同じように損益証明書を発行する業者と発行しない業者の2タイプがあります。損益証明書を発行しない海外FX業者の場合では、一見、税務署は脱税を突き止められないと想像しがちですが、税務署は必ず見抜きます。
損益証明書が発行されなくても脱税がばれる理由は、海外FXを利用する際の入金・出金といった資金の流れです。入金・出金の流れは、下記のとおり簡単に突き止めることが可能だからです。
- 銀行経由の海外送金
- クレジットカード・デビットカード経由の入出金
- オンライン決済サービス経由の入出金
といった金融機関などを経由した入出金の記録は必ず残っており、税務署や国税局が調査すれば簡単にわかってしまうため、脱税がばれるのです。
銀行・金融機関が提出する「国外送金等調書」でも脱税はばれる
銀行やクレジットカード会社などの金融機関は、
- 入金目的で100万円以上の海外送金を海外FX業者に行う場合
- 出金目的で海外FX業者から海外送金で100万円以上を受け取った場合
には、「国外送金等調書」を税務署に提出します。「国外送金等調書」は法定調書なので、金融機関は税務署への提出が義務付けられています(1998年に施行された「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」により法定義務となっている)。
- 送金者、または受領者の氏名・住所
- 国外送金等年月日
- 相手国
- 本人口座の種類、口座番号
- 国外送金等の金額
- 送金原因
などが記入されており、この調書によって脱税はばれます。ですので、脱税が成功する確率はゼロに近いと考えるべきです。
以上のように海外FX業者を利用しているからという理由で、脱税を行うことは決してしてはなりません。脱税がばれれば追徴課税が重くのしかかってきたり、逮捕されたりしてしまいます。脱税を企てる労力があるのであればその労力をFXトレードに注ぐか、合法的に節税することを真剣に考えるべきです。
金融庁の「租税条約等に基づく情報交換」要請で、脱税は絶対にバレる
「租税条約等に基づく情報交換」とは、納税者の(FXなどの)取引の税に関する情報を、他国の税務当局間で、日本とその国とで互いに提供する仕組みです。
つまり、海外FX業者であっても、その国の税務署がお金(税)の動きを把握しており、日本の税務当局などにもその情報を提供しているため、必ずお金がどこにあるのかは把握されています。
この租税条約に基づく情報交換には、
- 要請に基づく情報交換
- 自発的情報交換
- 自動的情報交換
の3つの形態があります。以下の文は金融庁のホームページでも閲覧することができます(参考PDF)。ここでは噛み砕いて説明します。
1.要請に基づく情報交換
個別の納税者に対する調査で国内だけの情報では事実関係が解明できない場合、必要な情報を外国税務当局に要請するものです。
つまり、国税庁は日本の納税者の情報で不足しているものが、外国の税務当局にあると考えられる場合、その情報を要請できるものです。また反対に、外国税務当局に情報提供を求められた場合、応対することを求められます。
2.自発的情報交換
納税者に対する調査で有益だと思える情報を入手した場合に、外国税務当局に自発的に提供するものです。
つまり、国税庁が外国税務当局に自発的に情報を提供しています。
3.自動的情報交換
法定調書から把握した非居住者への支払等についての情報を、支払国の税務当局から受領国の税務当局へ一括して送付するものです。国税庁では、外国税務当局から提供された情報を申告内容と照合し、内容を確認する必要があるとした場合、税務調査を行います。
つまり、海外資産などを含む金融資産などの情報を、さまざまな国で交換しているのです。
そのため、海外資産も日本の国税庁が把握しているといってまず間違いないでしょう。
脱税ではなく、節税と税金対策が重要
「海外FXで脱税はまず不可能だ」、ということがよくご理解できたかと思います。不可能なことなら脱税のことは忘れて「税金を減らす節税」を考えるべきです。
ということで、ここからは、下記の2つの税金対策の方法を解説いたします。
- 経費を、たくさん計上する
- 使える控除はすべて使う
経費をたくさん計上し、課税所得を少なくする
税金を減らすには、できるだけ多くの必要経費を計上して課税所得を減らせばいいのです。海外FXの利益は「雑所得として総合課税される」ため、利益が増えるほど税率が上がる仕組みなので、経費として認められそうなものを積極的に計上しましょう。経費は領収書があって「海外FX取引のために使った経費」ということが説明できなければいけません。
以下は、経費として認められる可能性があるものです。
- 海外FX取引に使用するパソコンや携帯端末の使用料金
- 海外FX取引に必要なインターネット代(プロバイダ契約とか)
- 海外FX取引に必要な椅子、デスク、棚、照明代など
- 海外FX取引を行うための部屋の賃料(事務所代、自宅であれば使用スペースで按分計算)
- 海外FX取引を行うための光熱費(自宅であれば使用スペースで案分計算)
- 海外FX取引に使用するVPSサーバー代
- セミナー参加費用(海外FX)
- 書籍代
- 携帯電話料金
- 海外FXトレードに関する情報収集のための会食など
- その他情報収集のための費用
このなかで特に注目すべきは家賃や光熱費も経費扱いされることです。
例えば、自宅の半分をFX用にしていれば家賃と光熱費の半分を経費として計上できるので節税インパクトは結構大きくなります。
税金を減らすにはできるだけ経費を作る必要があるので、上記以外で経費として認められそうなものがあれば、「ダメもと精神」で積極的に経費を計上して税金を減らすようにしましょう。
繰り返しますが、脱税はご法度と考えてしっかりと確定申告を行いましょう。
海外FXと国内FXの税金と確定申告ルールは違う!
FX初心者や国内FXでの経験者が海外FXの利用を検討する際、海外FXでの税金や確定申告の処理方法も気になる方もいるかと思います。
まず、海外FXと国内FXに対する税金の仕組みは異なります。国内FXは、申告分離課税による税率一律20%であるのに対し、海外FXに対しては総合課税(雑所得扱い)の累進課税が適用されます。両者の課税所得と税金の計算や確定申告の方法の詳細は以下の記事でご確認ください。
税率を考えると350万円くらいまでの利益であれば海外FXの方がおすすめです。
参考:いくらまでの収入なら海外FXのほうがお得なのか?
海外FXでの確定申告もとても簡単(e-Taxがおすすめ)
海外FXで利益を上げて確定申告をする方法には以下の方法があります。
- 国税庁のHPで確定申告書をダウンロード、手書きし税務署へ持参
- 税務署で確定申告書を入手し、手書きし税務署へ持参
- e-Taxで電子申告(パソコンで入力し確定申告を送信)
- e-TaxのHPで確定申告書を作成し印刷して提出
これらの中で最も事前準備と手間が少なくおすすめは4の「e-TaxのHPで確定申告を作成~印刷~提出」です。
その理由と国税庁のHPでの作成方法などの詳細は以下の関連記事で紹介しています。
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【XM】e-Taxで確定申告したから方法をまとめた【毎年同じやり方】
確定申告書には「損益報告書」を添付する必要がありますが、海外FXで利用されているトレードツールのMT4から損益を含む取引履歴をアウトプットして確定申告の際の添付資料にすることが可能です。