「FXで勝てない」「FXで負けてばかり…」
FXを始めるとほとんど人がこの悩みに直面します。なぜ多くの人が負けて利益を出すことができないのでしょうか?
「売買や利確・損切りのタイミングが悪い」などが原因としてよく挙げられますが、このような理由の他に勝てない理由として「しっかりとしたルールを決めていない」「決めたルールを守り切れない」といったことが挙げられます。
この記事では、FXでトレードルールが必要な理由、ルール作りのポイントと作り方、作ったルールを守る方法などを詳しく解説していきます。
目 次
なぜトレードルールが必要なのか?
FXは必勝法がなく大半の人が負けるもの
FXではチャレンジする人の80%~90%が思う通りに勝てずに退場していきます。
トレードの上手さやルールの有無以前に「FXには必勝法がない」「この手法であれば大体勝てる」といった必勝法がないため多くの人が負けては消えていきます。
勝っている人と負けている人は一見同じようなことをしていても明かな違いがあります。
それは「トレードルール」があるかどうかで、勝っているトレーダーは必ずといっていいほどトレードルールに従って取引を行っているのです。
FXではトレードルールが絶対に必要
FXは世界中のトレーダーの思惑によって為替相場が刻一刻と変動していて規則性が一切ないため「相場の値動きを100%予想することが不可能」です。
FXは高い確率の予想が困難なので「負けと損失が先行する特性が強い」投資です。その特性をできる限り弱めて利益を先行させるには「トレードルール」が絶対に必要なのです。
FXで損失を出しまくっている人たちの共通点は「明確なルールを設けていない」「ルールを守るためのルールもない」「勘に頼ってトレードしている」といったことが挙げられます。
負け組は、ルールがないため、損切りライン・利確ラインが毎回変わる、負けによる精神的ダメージ、挽回しようとする焦りなどがもっと損失を広げてしまう「負のスパイラル」に陥る可能性が高く、そうならないためには「明確なトレードルールが必要」なのです。
勝率と損失の関係に見るトレードルールの必要性
また、勝率が高ければ利益を出せると思って勝率に拘る人がいますが、勝率よりも損失を少なくする方が重要であり、損失を抑えるためにはルールが必須です。
ルールの必要性を事例で説明しましょう。
例えば、10回のトレードの結果が、
- 勝率80%
- 平均利益20pips
- 平均損失100pips
の時の損益は、80 x 20 – 20 x 100=マイナス400pips、極めて高い勝率80%であっても損失が大きいと損益がマイナスとなります。
このようなケースにおいて、例えば、1日当たりの損失限度額(許容額)を決めておいて限度額を超えた時点でそれ以上のトレードを行わなければ損失を最小限化することができるのです。
繰り返しとなりますが、FXという「負けと損失が先行しやすい特性」を弱めるためにはルールでコントロールする以外はないことを肝に銘じておきましょう。
FXのルール作りで必要なポイント
FXにおけるトレードルールの重要性を説明したので、次は具体的にどんなルールが必要なのかを説明していきます。
FXは必勝法がないため、損失を小さくしてトータル損益をプラスにするためのルール作りが大切です、そのためには最低でも以下の4項目のルールを作るべきです。
- エントリー
- 損切り
- 利確(利益確定)
- 資金管理
以下、別々に説明しますが、実際のトレードでは損切り・利確の設定とエントリーするポジション量を決めてからエントリーするので、あらかじめ4項目のルールを決めておく必要があります。
エントリーのルール
エントリーのルールを決める理由は「根拠と再現性があるトレードを行うため」「無駄なトレードをしないため」です。
つまり、根拠がなく再現性に乏しいエントリーはほとんどが無駄なトレードになるので、それを防ぐためのルール作りが必要です。
また、後述する「損切りルール」と「利確ルール」を決めてその通りに設定していても不利な相場にエントリーしてしまうと負ける可能性が高くなるため、エントリーのルール作成は非常に重要です。
根拠と再現性があるエントリーのため必要
「こんな相場にはエントリーする」「インジケーターがこんな指標になった時のみエントリーする」といったルールを定めておけば、ルールに照らし合わせてエントリーができ、無駄なエントリーを防げるメリットがあります。
既述したようにFX相場は規則性がなく完全に同じ動きはしませんが「こんな状況や似たようなパターンではエントリーする」ようにすれば、相場自体に再現性がなくてもトレードには再現性を持たせることができます。
ルールがなく、なんとなくや直感でエントリーしてしまうとトレードが上手くいったとしても、どんな状況下でエントリーしたかを後から振り返ることができなくなるため、成功例を今後のトレードで再現することができなくなります。
成功パターンを増やすことは再現性があるトレードを増やすことに結びつくので、そのためにルールに基づいてトレードすべきなのです。
無駄なエントリーを行わない
FXでは「勝てるエントリーを増やす」ことは大変ですが、「無駄なエントリー減らす」ことでトータルでプラス収支にするのは比較的簡単にできます。
無駄なエントリーの代表的なものには、
- 負けから挽回しようとして再エントリーしてしまう
- 不利な相場なのに焦ってエントリーする
- もっと勝てると思い込んですぐに再エントリーする
といった悪いメンタル状態が引き起こすことが多いので、たとえば、損切り後の15分間や根拠があり有利なエントリーポイントが出てくるまでは新規エントリーしないといったルール付けが必要です。
損切りのルール
損切りのルールを決めておく目的は「損失の拡大を防ぎ、自己資金を守るため」です。
損切りのルールがないままトレードしてしまい、損切りのタイミングを逃して損失を膨らませてしまった経験がある人も多いと思います。
損切りのルールがないと「もしかするとレートが元に戻るかもしれない」「あと5分だけ待ってだめなら損切りしよう」といった感情に流されてさらに損失を膨らませてしまうことがあります。
そうならないために、損切り幅を定めて逆指値を設定してからエントリーすることをおすすめします。
スキャルピングなどの短期売買では数pipsから最大でも10pips、スィング取引のような長期取引の場合では50pipsの損切り幅でトレードするようにしましょう。
利確ルール(利益確定ルール)
利確は損失を抑えることと関係がないように思うかもしれませんが、利確できる時に利益確定してしまえばそのトレードで損失は発生しえないので利確のルールも重要です。
利確のルールがない場合も、損切りを先延ばしするのと同様に、先延ばししている最中に相場方向が逆転してしまい一転して損失が発生してしまうことがあります。そうならないために、利確幅を定めて指値を設定してからエントリーするようにしましょう。
一般的な利確幅は、スキャルピングで10pips程度、デイトレードで30pips~50pips、スウィング取引なら100pips~500pipsの値幅で狙っていく感じとなります。
資金管理のルール
資金管理のルールは自己資金をどのように運用コントロールするかを決めていくものです。
資金管理では、「1回のトレードリスクの計算」「1回のトレードリスクの限度を決める」といったルールを最低でも決めます。
計算方法などの詳細は後述しますが、損切り幅は上記3項目に基づいて決めていくため資金管理のルールも必須です。
FXのルールの具体的な作り方
上記ではトレードルールにはどんなルールがあってどうして必要なのかを説明してきましたが、ここからは各ルールで決めるべき内容と作り方を説明していきます。
エントリーポイントを見つけるルール
エントリーポイントを見つけるためには最低でも以下の3項目をルールとしましょう。
- 相場の環境を眺める
- 水平線を確認
- 移動平均線を確認
相場の環境を眺める
まず、相場環境の大きな流れを眺めることから始めましょう、
たとえば、4時間足から1時間足・30分足・15分足と長い時間足から短い時間足のチャートを眺めているとこれからの相場の方向性を把握できます。
短い時間足に変えていくと異なるトレンドに変わる部分も出てくることがありますが、多くの時間足で方向性が揃っていればその方向性で動いていきやすい相場環境にあると言えます。
水平線を確認する
水平線を基準にサポートとレジスタンスの状況を見ます。エントリーポイントとなりやすいサポレジ転換が起こっているか、サポレジ転換が起こりそうかどうかを確認しましょう。
下値を支えていたサポートライン(支持線)をブレークしてから価格が上昇して上値を抑えるレジスタンスライン(抵抗線)に転換している(しそう)、といったことを確認しながらエントリーポイントを探ります。
移動平均線を確認
相場全体の方向性、サポレジ転換の有無・可能性を確認したら、次に相場全体の方向性を視覚的に確認しやすい移動平均線を用いてエントリーポイントを最終判断します。
- 基本の売買シグナルでエントリーを判断
- ゴールデンクロスとデッドクロスをエントリーサインとしてエントリーを判断
①の基本の売買シグナルでは、移動平均線の傾きと価格の位置からエントリーポイントを判断することができます。
価格が移動平均線から大きく乖離すると価格は移動平均線に戻る傾向がありその際にトレンドが発生することが多く、トレンド発生のタイミングがエントリーポイントとなります。
②については、短期と長期の移動平均線を表示している状態で、
- 短期線が長期線を下から上に突き抜けるゴールデンクロスでは「買い」エントリーする
- 短期線が長期線を上から下に突き抜けるデッドクロスでは「売り」エントリーする
といった判断ができます。
上記のように相場全体の方向を眺めてサポレジを確認してから移動平均線で最終判断する方法を試してみましょう。
明確な損切りラインを決める
FXでは含み損があってもロスカットラインを下回らなければオープンポジションを維持できます。しかし、ポジションをキープしたまま損失が大きくなっていきなりロスカットを喰らうと自己資金を一気に失うリスクがあります。
そのため、最低でもロスカットされるよりも先に損切りすることが大切です。
保有しているポジションにその日の損失限度額の〇パーセントの損失が出たら損切りする明確な損切りラインを決めましょう。
また、損切りラインを決めていても確実に実施できなければ意味がありません。
成行注文で自分で損切りを上手くできない人は、必ず逆指値注文を予め入れておくなどして自分で決めた損切りラインを実行できるようにしましょう。
利益目標を決める
FXではトータルでプラス収支にするために利益を上げること以上に損失を抑えることが重要ですが、利益が出た場合も、明確な利益確定ラインを決めることが重要です。
トレードの調子が良くて利益が出ている場合、もっと利益を出したい衝動に駆られることがあります。利益を深追いした結果、相場の方向が一転して損失が出てしまい得られたはずの利益を小さくしてしまうこともあります。
そのため、「取引ごとに〇パーセントの利益が出たら利益確定する」といった利益確定ラインを定める必要があります。
また、1日の利益目標を決めて目標利益に達したらその日はそれ以上のトレードを行わないことも大切です。
損失許容レベルとポジションサイズ・損切りラインの設定・管理
エントリーする前にはその時々の資金ポジションに応じた損失許容額を必ず計算し、損失許容額から逆算してポジションサイズと損失ラインを決めるようにします。
まず、1回のトレードの損失限度額を決めます。一般的な2%ルールとして、口座資金残高の2%程度をリスク許容額とします。
そして、以下のように損失ラインをポジションサイズで調整する方法がおすすめです。
<事例>
口座資金残高:150万円
ドル円:100円
1回のリスク限度:3万円(150万円 X 2%)
1回の損失許容額が3万円に収まるポジションサイズと損切り水準を決めることになります。もし1ロット100,000通貨にすると損切りレベルが30pipsと狭くなり、思惑が崩れ切っていないのに早く損切りしてしまう恐れがあるので50,000通貨で損切りレベルを60pipsに設定します。
また、損切りを実施して損失を出した場合、口座資金が減少したら次回の1回あたりの損失許容額も減らして、連敗しても資金減少のショックを少しでも和らげて、口座資金残高に対するリスクを一定割合(2%)に保つようにします。
例えば、口座資金残高が50万円減ったなら、次のトレードの損失限度額は(150万円ー50万円)x 2%=20,000円と減らして一定割合をキープします。
FXのルールを守るコツ
ここまででエントリーポイントを見つけるための方法、リスク許容額に基づいてポジションサイズと損切りレベルを決めるルールなどを説明しましたが、どんなに損切りのルールを作っても守れなければ損失を抑えることはできません。
特に成行注文、裁量トレードを行っている人の場合は簡単にルールを破ってしまう恐れがあるので、ポジションを建てる際や建ててから以下の注文を設定することをおすすめします。
- 指値注文と逆指値注文
- OCO注文
- IFD注文・IFO注文
これらの注文方法を設定すれば自動的に決済または注文が執行されてルールに合ったトレードができるようになります。
指値注文と逆指値注文、OCO注文、IFD注文、IFD注文の詳細は以下の記事を参考にしてください。
まとめ
冒頭で述べた通り、FXではルールに則ってトレードしないと利益を上げることはできません。
- エントリーのルール
- 損切りのルール
- 利確のルール
- 資金管理のルール
正しいエントリーポイントを見極めるために、
- 相場の環境を眺める
- 水平線を確認
- 移動平均線を確認
を行って、2%ルールに基づいて、
- 損失許容額
- ポジションサイズ
- 損切りライン
を決めてからトレードを行うようなルールを作りましょう。くれぐれもルールなしでトレードを行わないようにしましょう。