普段相場はジグザグと波のような形を形成しながら、進んでいきます。
トレンドとはこのような波が連続して一定の値幅、リズムを保っている状態です。
高値、安値にラインを引くと、右肩上がりになったり、右肩下がりになっていたり、横ばいの状態になっていることがわかります。
そのラインをトレンドラインと呼び、それぞれのラインの形によって特徴などがわかります。
今回はそのトレンドラインの引き方、そのラインからのブレイクや騙しなどの判断を解説していきます。
目 次
FXでのトレンドラインの引き方と、様々な名称。MT4で見てみよう
トレンド相場では、トレンドラインというラインを高値や安値をつなげて引くことができます。
上昇トレンドは、前の安値を次の安値が下回らず、前の高値を次の高値を更新して切り上がっていく状態で、このときは、安値同士を結び、これを下値支持線(サポートライン)と呼びます。
上昇トレンドでは、レートが下落したとしても、そのサポートライン付近で反発し、押し目を付けながら上昇すると見ます。
下降トレンドは、前の高値を次の高値が上回らず、前の安値を次の安値が更新して切り上がっていく状態で、このときは、高値同士を結び、これを上値抵抗線(レジスタンスライン)と呼びます。
下降トレンドでは、レートが上昇したとしても、そのレジスタンスライン付近で反発し、戻り高値をつけながら下落すると見ていきます。
また、横ばいの保ち合いトレンドでは、安値同士を結んだ線が保ち合いトレンドライン(サポートライン)となります。
トレンドラインの次は、「アウトライン」を引いてみよう
次にトレンドラインに沿って平行に反対に引きます。
それをアウトラインを呼び、そのラインに挟まれた場をチャネルと呼びます。
アウトラインの引き方としては、一番外側の高値安値に合わせて引くか、内側に合わせて引きます。
内側に合わせたほうが当然チャネルが狭まるので、決済のタイミングが早くなります。
初心者はまず内側にアウトラインを引くようにするといいでしょう。
上昇トレンドラインの引き方
上昇のトレンドラインを引くには、上記の画像のように、安値を結ぶようにラインを引くとできます。
画像ではA、B、Cが目立った安値ですので、それらを結んで線を引くと、サポートラインになります。
続いて、平行に高値のポイントを結んでアウトラインを引きます。
外側に引くと画像の青い線、内側に引くと黄色い線がレジスタンスラインとなります。
内側のほうが取引するタイミングなどを早くできますので、初心者はなるべく内側に引くといいでしょう。
下降トレンドラインの引き方
下降トレンドラインは、2つ以上の高値を結んでラインを引きます。
A、B、Cのポイントを結んでラインを引くだけで下降トレンドラインを引くことができます。
続いて、平行に安値のポイントを結んでアウトラインを引きます。
外側に引くようにすると青い線、内側に引くようにすると黄色い線がサポートラインになります。
下降トレンドラインのサポートラインも同じように、初心者は内側に引くようにすると、決済などのタイミングを早くできリスクヘッジになるのでおすすめです。
トレンドラインを利用して売買をする方法。実際にやってみよう
トレンドライン利用した売買の基本は、そのトレンドに逆らわずについていくことです。
相場がチャネルを形成しているときは、上昇トレンドでも下降トレンドでもそのチャネル内で売買を繰り返しながらトレンドに乗ると、利益を出すチャンスを多く得られます。
チャネル内で売買を行う場合、上昇トレンドでは下落してサポートラインで跳ね返されたところで買い、レジスタンスラインまで伸びたところで売りを出します。
下降トレンドでは逆にレジスタンスライン付近で売り、下落してサポートライン付近まできたところで買い戻します。
過去の高値安値もポイントになる!注意してみておこう。
トレンドラインだけでなく、過去の主要な高値、売値のポイントも大事な節目となることが多く、そのポイントでレジスタンスライン、サポートラインの起点となることがあります。
過去のポイントでは、ほとんどのトレーダーがそれを節目として意識するので、その近辺で利食いや損切りが出やすくなります。
また、過去にその近辺で売買した人はそれから一度も利益、または損失が出ていないということなり、その場合はポジションの巻き戻しが多くなります。
心理的影響だけでなく、実際に巻き戻しなどのようなこともあるので、過去の高値安値などの節目となるポイントは抑えておくと良いでしょう。
ブレイクと騙し。だましには気をつけろ!
相場には騙しと呼ばれる、トレンドラインを突き抜けたあとにすぐにまたライン内に戻ってくる現象があります。
突き抜けていってまた新たなラインを引くような相場になると、それをブレイクといいます。
ブレイクしたときは新たにポジションを持つチャンスですが、ライン内にすぐに戻ってくる騙しには注意しなければなりません。
そこで本当にブレイクしたかを見極めることが大切です。
見極めるポイントは主に3つあります。
- ブレイクする直前にトレンドを変えるような材料が出たり、出来高を伴いながらブレイクした時
- トレンドラインで跳ね返された回数が多いときや、比較的トレンド形成時間が長く経過した後にブレイクした時
- 今見ているチャートよりもさらに足の長い期間のチャートでもブレイクしている時(時間足でブレイク→日足でもブレイク、など)
ブレイクだと判断するには、一度様子を見よう
ブレイクしたときの特徴は、まず上昇時にサポートラインを抜けると、そのサポートがレジスタンスラインに変わります。
その反対に下降トレンドの時にレジスタンスラインを抜けると、そのレジスタンスラインがサポートラインに変わるという特徴があります。
また、一旦抜けたと思っても一度もとのトレンドに戻されることがあります。
これをプルバックといい、一時的なブレイクと勘違いしてしまう場合がありますので、注意が必要です。
このプルバックがブレイクしたトレンドラインで跳ね返されると、レジスタンスラインがサポートに変わったと見て、ブレイクが本物であると見ることができます。
一時的にブレイクしても、終値ベースでトレンドに戻っているときは、一時的なブレイクと見ることができるため、気をつけましょう。
逆に終値ベースでトレンドをブレイクしているときは素直にブレイクと見ることもできます。
しかし、騙しであることもあるので、様子を見ながらトレードしていくことが大切になります。
迷ったらローソク足の実体にあわせて引くのがおすすめ!
どこに線を引けばよいかわからない、という人は、まず線はたくさん引いていくのがいいでしょう。
たくさん引いていけば、自然とどこが大切なポイントなのかがわかってくるからです。
また、それでも迷ってしまうという人は、ローソク足の実体に合わせて引くことをおすすめします。
FXでは重要な経済指標の発表や、要人の発言があると、数分間で価格が乱高下します。
このとき、ローソク足の上下に長いヒゲができますが、上下に長いローソク足は、そのローソク足が形成される間、一時的な乱高下の影響で相場がどちらに進んでいくのかわかりにくくなります。
この場合、上下のヒゲは本来のローソク足の値動きからは逸脱した水準になっています。
そのため、価格帯の落ち着きどころである、実体のほうが本来の価格に近いと言えます。
そのような理由から「どこに引けばよいのかわからない、迷う」という人は、まずローソク足の実体を結ぶことを意識してみてはいかがでしょうか。
トレンドのパターン分析を紹介!
以上のことから、トレンドにはパターンがあり、トレンドを形成していく過程で決まった波形が現れることがあることが分かったかと思います。
トレンドのパターンを知っておけば、相場の節目を判断できる材料になる、ということも解説しました。
さらに以下からは、
- 天井から下落に変わるとき
- 大底から上昇に変わるとき
- 保ち合いのとき
の、三点からよく見られるトレンドのパターンを簡単に解説していきます。
このトレンドのパターンを覚えておくだけでも相場分析や、トレードの役に立ちます。
上昇トレンドが天井から下落に変わるパターン
上昇トレンドが続いている時に、最終局面で現れるパターンを紹介します。
パターンが続く期間は比較的短く、下落が始まると急激に動くという特徴があります。
①ヘッド&ショルダー
相場が上下を繰り返しながら、3つの山と2つの谷を形成するパターンです。
1つ目の山と3つ目の山はほぼ同じ価格で止まります。
2つの谷を結んだ線をネックラインと呼び、3つ目の山がこのネックラインを抜けた時点でヘッド&ショルダーが完成となります。
抜けた時点で下落していきますが、この下落の勢いが弱いときは一旦ネックラインにまで引き戻されるときがあります。
それをリターンムーブと呼びます。
しかしその後は下落へと転じていきます。
下値の目処としては、2つ目の山と同じ幅まで下がったところが良いでしょう。
②トリプルトップ
先程のヘッド&ショルダーと似ていますが、トリプルトップは3つの山がほぼ同じ高さを築きます。
このパターンもサポートラインを下抜けした時点でトリプルトップが完成となります。
下値目標はこのパターンでは真ん中の山の高さではなく、全体の高さが同じくらいの高さになるので、その高さからサポートラインまでの幅と同程度の幅になります。
下値目標は山の高さと、サポートラインから下抜けた幅が同程度と覚えておきましょう。
③ダブルトップ
上昇相場で多くみられるパターンがこのダブルトップです。
トリプルトップと同様にほぼ同じ大きさの2つの山が形成され、谷のサポートラインをブレイクした時点で下降トレンドへと転換したと見なします。
この時、プラットフォームという短期的な保ち合いが形成されることがあります。
下値目標は天井の山とサポートラインまでの幅と同程度です。
④V字トップ
V字を逆さにした形を形成します。
短期間で急上昇を続けピークに達した後、一気に急落するためこの形になります。
ダブルトップに続いて相場の転換時によく見られる形ですが、なんの前触れもなく急落することが多いため注意が必要です。
急な上昇が続いたら他のチャートなどと合わせてみるといいでしょう。
⑤ソーサートップ
ソーサー(お皿)を逆さにしたような形を形成します。
V字トップのようにいきなり下落するような動きとは違い、なだらかに天井をつけながら下降に転じていきます。
プラットフォームと呼ばれる小さなもみ合いも、天井付近でしばしば見られます。
プラットフォームが形成された後、そのサポートラインを割ると下落のサインとなります。
下降トレンドが大底から上昇に変わるパターン
下降トレンドが大底を打ってから上昇に変わるパターンは、上昇トレンドが天井を打ってから下降に変わるパターンの逆の形になります。
特長としては、上昇トレンドから下降に変わるパターンより、パターン形成の時間が長く続き、静かな値動きとなることが多く見られます。
それ以外は逆の形、見方になると考えて支障はありません。
保ち合いのパターン
トレンドの途中では小さめの波動がよく見られます。
これはそれまでのトレンドの一時的な小休止を表し、売りと買いの勢力が同程度になっている「保ち合い」を表しています。
トレンドの中段でよく起こり、この保ち合いが終わると再び元のトレンドに戻るのが一般的だと言われています。
保ち合いのパターンは基本的に三角形になることから三角持ち合いとも言われ、このパターンの共通点としては、徐々に値動きが小さくなります。
また、三角形の頂点に向かうほど値幅が狭まります。
この三角形のパターンは大きく3つの型に分けられます。
- 対称型
- 上昇型
- 下降型
①対称型トライアングル
対称型トライアングルは、コイル型ともよばれ、横に倒れたねじのような三角形を形成します。
下降する上辺と、上昇する下辺に挟まれた二等辺三角形が収縮するにつれて取引が少なくなります。
収縮したあとは、また取引が活発になることが多く、買い、または売りのタイミングになります。
この形が終わると、再びトレンドを形成していきます。
②上昇型トライアングル
上辺が水平に伸びており、上昇する下辺とその水平線に挟まれた直角三角形を形成します。
上昇トレンドの途中に現れることが多く、下降トレンドで現れた場合もこの保ち合いが下降トレンドの終わりを示しています。
ブレイク後は再び上昇トレンドに戻るため、買いのサインです。
③下降トライアングル
底辺が水平に伸びて、下降すると上辺とその水平線に挟まれた直角三角形です。
通常は下降トレンドの終わりに多く現れ、抜けた時が売りのサインとなります。
上昇トレンドで現れた場合、この保ち合いによって上昇トレンドの終わりを示します。
ブレイク後に再び下降トレンドに戻ります。
④フラッグ型
急激な上昇、または下降のあとに現れ、旗のような形からフラッグといいます。
トレンドの一休止として生じることが多く、トレンドの転換にはあまりなりません。
上昇型フラッグの場合、いったん利食い売りが出ているとみて、押し目買いのチャンスになります。
このフラッグが終了し、直近の高値を越えてくるようだと、再び上昇トレンドに戻ったと見ます。
下降型フラッグの場合、逆に利食い買いが出ているとみて、戻し売りのチャンスです。
その戻りが終了し、下落が始まって直近の安値を割り込んだ場合、再び下降トレンドに戻ったと見れます。
フラッグは下降、上昇のトレンドの勢いを一時止めることで、再びその流れを継続するという場合がほとんどです。
⑤ペナント型
こちらはペナントに似ていることからペナント型と言われています。
フラッグ型と同様に急激な上昇や下降が生じた直後に出現する形で、トレンドの動きを一時的に止めるような動きをします。
比較的に時間は短く、トレンドの転換になることはあまりありません。
フラッグ型との共通点が多く、ペナントの終了時には再び元のトレンドが継続されることが多く、フラッグ型以上にトレンドの継続力はあります。
⑥ウェッジ型
ウェッジは楔という意味があります。
フラッグ型やペナント型などの組み合わせた形で、トレンドに対し逆らった傾きとして現れます。
上昇型ウェッジは上昇していくことを示し、下降型ウェッジは下降していくことを示しています。
反転するという見方もありますが、原則は保ち合いののち、再びもとのトレンドに戻るとされています。
【まとめ】トレンド分析
以上がトレンドのパターン分析の主なものですが、必ずしもパターン通りに行かない場合もあります。
パターンにはまっても、騙しや経済指標等によって惑わせれないとも限らないため、テクニカル分析だけでなく、ファンダメンタルズ分析も怠らないようにしましょう。